ニュージーランド セントラルオタゴ
ブドウ品種:カベルネ・フラン
自社畑内で最も日照条件に優れた区画(0.25ha)に植えられたカベルネ・フランから造られる赤。唯一北向きになっている斜面は必然的に最も日照量が多く、カベルネ・フランに最適な区画ですが夏場の日光はすさまじく、佐藤さん夫婦は良くカベルネ・フランの樹が作ってくれる日陰で休息を取るそう。ワイン名はそのエピソードから付けられていますが、ワイン自体の個性にもフランならではの「森」を想わせる魅力があるのがまた面白いところ。嘉晃さんと行うテイスティングセミナーでは、多くの方からロワールのとある素晴らしいフランの銘柄の名前が出てくるワインでもあります。
夏の強い日差しの中”森の中”にいるように佐藤さん夫婦に癒しを与えてくれるフラン。手摘みされたブドウは全て除梗され、約1週間強の低温浸漬。小さな開放タンクで自然醗酵、バスケットプレスされステンレスでブレンドさせた後古樽にて 17 ヶ月熟成(MLF あり)。瓶詰めまでに計 15ppm の亜硫酸を添加。 12 ヶ月以上の瓶内熟成。無濾過、清澄剤不使用。
La Ferme de Sato (Sato Wines) / ラ・フェルム・ド・サトウ(サトウ・ワインズ)
佐藤さんご夫婦がビオディナミ農法を実践している自社畑シリーズ「ラ・フェルム・ド・サトウ」。
セントラル・オタゴのピサ地区で標高の高い土地を購入し一から植樹することでスタートした自社畑は2019年産ワインがファーストリリースとなり、今回の2021年で3年目となります。
3.1haの面積にPinot Noir, Chardonnay, Chenin Blanc, Cabernet Franc, Gamayという5つのブドウ品種が植えられており、その限られた生産量と急速に高まる評価によって常に完売を続けています。
(ちなみに今年James Sucklingによって世界のTOP100ワインに選ばれたのがこの自社畑のピノ・ノワールです。またこのワインは今年ワイナートの表紙にも選ばれています)
佐藤さん夫婦にとって念願の自社畑プロジェクトが始動したのは2015年。セントラル・オタゴピサ地区の平均標高300mを超える高所のロケーションに、適度な広さがあり傾斜の激しい斜面に位置する絶好の土地が売りに出されているのを見つけたのです。
その土地を購入し、一から土壌成分や斜面の向きなどを徹底して調査した2人は、その土地がシスト(片岩)を多く含み、冷涼な気候であるセントラル・オタゴにおいてもさらに昼夜の寒暖差が大きい微気候をもっていることを確認します。調査を重ね、畑を土壌や標高、斜面の向きによって6つの区画に分けて管理(総面積は3.1ha)することにした2人が選んだのが、PinotNoir,Chardonnay,CheninBlanc,CabernetFranc,Gamayという5つのブドウ品種でした。2016年にクローンを選抜して植樹を開始。当初からビオディナミを実践し(2019年にはBioGro認証を取得)、少しずつプロジェクトを進めていった彼らは遂に2019年産のブドウから初めて自社畑シリーズのワインをリリースすることを決意したのでした。自社畑は標高1950mのピサ山を背後に、底に湖のあるクロムウェル盆地の西側の丘に位置しています。標高は最も低い部分で298m、最も高い部分では349mにも及び、冬季に発生する霧を眼下に見下ろすとまるで雲の上にいるかのようです。そして最も特徴的なのがその土壌構成で、より標高の高い畑では1億5000万年前の
シスト(片岩)が風化せずに岩や小石としてゴロゴロと残っています。水はけが良く保水性も低いため、土壌を発展させていくためには畑におけるハードワークが欠かせません。また強風吹き荒れる傾斜のきつい斜面に位置しており、朝の時間帯に日照量を享受しつつ、比較的早い日没により夜は温度が下がるため昼夜の寒暖差はとても大きくなります。結果的に、存分に日光を浴びながら、冷涼気候による恩恵を受けた素晴らしいブドウが収穫できるのです。
Le Ferme de Sato 2022 年ヴィンテージ …
振り返ってみますと全体的に良好で、健全で暖かく穏やかな年に。春は平和で新芽が健やかに育ち、開花が少し早まったもののすぐに気温の低下と雨が振り適切なペースへと戻りました。房は特別大きくはなりませんでしたが、順調なスタート。初夏に大雨が降り病害のリスクが高まりましたが、クリスマスを過ぎるとすぐに暑く乾燥した気候となり干ばつ状態に。色付きは平年通り、晩夏から初秋にかけて気温は戻ってくれました。平年より早く始まった収穫では酸の低下に特に気を付ける必要がありましたが、幸いなことに雨が降らず極めて良好な条件下で収穫を終わらせることができました。