フランス シャンパーニュ
ブドウ品種:ピノ・ノワール50%、シャルドネ50%
ピノ・ノワールとシャルドネによるテロワールの表現
ピノ・ノワール50%、シャルドネ50%のブレンド。この地ではピノ・ノワールの栽培が盛んなのですが、理由は二つあります。一つはマルヌ県より標高がやや高く遅霜にあいやすいので、シャルドネより開花が遅いピノ・ノワールの方が育てやすいこと。もうひとつは土壌中の石灰比率が低くて粘土の割合が高いため、日照が少ない年にはシャルドネは酸が突出しがちなのです。1970年代植樹の古木のブドウも使われています。
Richard Cheurlin / リシャール・シュルラン
出会い:1999年秋、シャンパーニュの優れたレコルタン・マニピュラン探索行の最後に、オーブ県を訪ねました。その折もっとも印象に残ったシャンパーニュの作り手リシャール・シュルランに取引をお願いしてまいりましたが、念願かないこのたびやっとご紹介できることになりました。リシャールは1978年よりシャンパーニュ作りを始めました。11月の末、外は小雪まじりの寒い日だったのですが、畑から戻ったばかりのリシャールは日焼けした顔に大粒の汗をかきながら、熱心にワイン作りについて語ってくれました。最初のキュヴェを一口味わって、リシャールが才能あふれる造り手であることすぐに確信しました。 その言葉のはしはしにもワインと同じく、純良な魂と温かい人柄が感じられ、ついにオーブ最良のシャンパーニュに巡りあったとの思いを強くしました。歴史:リシャールで5代目になるブドウ栽培農家で、1919年より自家でシャンパーニュを作り始めた。創業年:1978年ドメーヌ解説:現在ワインを醸造、ワイナリーを経営しているのは、ルーシーとセバスティアン・シュルランの姉弟。リシャールは彼らの父親の名前であり、ワイナリーのネゴシアン部門である、エドモン・シュルランは、彼らの一族の中で初めて、シャンパーニュでブドウ栽培を初め、ネゴシアンに販売をした、エドモン(1881-1946)に由来する。エドモンはブドウを大手ワイナリーへと販売していたが、彼の息子であるレイモンが少しずつシャンパーニュの醸造を初めた。コトー・ド・ルルスに位置するセル・シュル・ウルスは、畑は南斜面にあり、きわだった日照に恵まれ、晴天は年間200日以上に及びます。マルヌ県より標高が高く、春に遅霜禍にあいやすいので、シャルドネより開花が遅いピノ・ノワールの方が育てやすい。また、この地区ではマルヌやコート・ド・ブランに比べて石灰質が少ない土壌(シュルランでは40%が粘土まじりの石灰岩土壌)で、日照が少ない年にはシャルドネは、酸が突出した味わいになるため、ピノ・ノワールが多く栽培されています。オーブでは石灰岩、粘土まじりの土壌に、小石の層や赤い土の層が入り組み、畝によりキャラクターが大きく異なります。そのため10から12の異なる畝を有するシュルランでは、それらの個性を生かすために、畝ごとに醸造を行います。最近では、マルヌ、コート・デ・ブランの評価の高い作り手でさえ、プヌマティック式プレス機を使用し、ルミュアージュ(動ビン)は機械で行う造り手がふえ、驚くことがしばしばあります。ましてオーブではほとんどの造り手がプヌマティックを使用しています。一通りテイスティングが終わり、カーヴに入り伝統的な木製の垂直型プレス機と手作業で行われるルミュアージュの作業を見たとき、伝統を守りながらクオリティの高いワイン作りを実践する志を感じました。いずれのキュヴェも香りに集中力があり、内側に緊張する力と広がる力のバランスがとれ、軽やかで上品な味わいで、この価格帯のシャンパーニュのなかでは明らかなクラスの差を感じさせてくれます。とりわけフィネスにあふれるキュヴェ・H・ミレジムとキュヴェ・ジャンヌは長く熟成させて楽しんでほしい、とはリシャールの言葉です。