オーストラリア アデレード・ヒルズ
ブドウ品種:ピノ・グリ
ピノ・グリを果皮ごと醸すオレンジワイン。ブドウはタンク内で密封され、自然醗酵およびマセラシオン・カーボニック(10日間)。その後プレスされ、500L の古樽で 10 カ月熟成。ボトリング前に少量の酸化防止剤を添加。ノンフィルター、清澄剤不使用。やや還元的なトップノーズから始まり、ブラッドオレンジや黒こしょう、カンパリといった複雑な風味へと変化する。ゆっくりじっくりと楽しみたいワイン。
ピノ・グリを果皮ごと醸すことで造られるBKのオレンジワイン。密封タンクの中で10日間カーボニック・マセレーションさせた後に500Lのパンチョン樽で熟成させることで、エッジのたったタンニンが滑らかに整っています。実はこのワイン、現地でリリースされたのは昨年のこと(そのためこれだけ2023VT)。ボトリング後すぐに飲ませてもらったワインはトップノーズに強めの還元が感じられ、液体自体も表情が薄い印象でピンときていませんでした。しかしブレンダンから「今はワインがそういう時期にあるだけで、素晴らしいクオリティを魅せることは確信している」と言われ、時間を置いてから再度飲んでみることに。するとこのワインが本来持っていた表情が実に素直に出てきており、あっという間にその評価が変わってしまいました。果実感・苦み・鮮烈さは色の濃いグレープフルーツを想起させ、全体の構成を引き締める酸とタンニンは質感豊かなロゼ、もしくは軽い赤のようでもあります。開けるタイミングにもよりますが、もし開けたてに還元的なニュアンスがあっても慌てず、じっくりと向き合ってみて頂きたいワイン。
BK Wines / BK ワインズ
醸造家BrendonKeys/ブレンダン・キースによって2007年、南オーストラリア州アデレード・ヒルズに設立されました。ブレンダンはNZ生まれ。当初シェフとしてキャリアをスタートさせましたが、すぐにその情熱はワインへと向くことになります。NZのギズボーンでワインメーカーとしての歩みを始めたブレンダンは、カリフォルニアに移り、オーパス・ワンの醸造ヘッドを務めていたポール・ホブスの元でスキルを磨きます。その後2004年にはポールに乞われアルゼンチンのヴィーニャコボスの設立に参加。しかしポールを尊敬しながらもブレンダンは、JuraやAlsace,Burgundyのナチュラルでありながらモダンなスタイルのワインに傾倒していき、2007年、ついに自らの夢を果たすべく小さなワイナリーをアデレード・ヒルズの森の中に興しました。
ブレンダンの目指すスタイルはナチュラルですが決して懐古的ではなく、アヴァンギャルドとさえ呼べるものです。野生酵母での醗酵や亜硫酸の最小限の使用(もしくは0)を前提とし、スキンコンタクト・カーボニックマセレーション・全房醗酵、さらには産膜酵母を使った造りなどを、自ら足を運び選んだ単一畑から収穫されるブドウの状態に合わせて多彩に用います。しかし細部にまでブレン
ダンの情熱と最大限の注意が向けられ出来上がるワインは極めて高い完成度を誇り、シリアスな側面とフレンドリーな表情を併せ持つ見事な個性を獲得しています。我々は彼のワインを飲むことで、底知れないブレンダンの世界を覗き見ることになるのです。