日本 大阪
ブドウ品種:デラウェア
●木桶×ワイン
「Link」は木桶でのワインつくりに挑戦したキュベ。日本で最後の桶屋さん「藤井製桶所」に吉野杉の木桶を作っていた だき、2022 ヴィンテージから大阪のデラウェアを醸したのがスタートで、2024 年で 3 ヴィンテージ目となります。
古くから発酵•醸造に用いられてきた木桶。容器としての寿命は長く、また桶つき酵母が大切にされることから、新調の サイクルは 100 年単位と聞きます。現代ではステンレスタンクを用いた醸造が主流となって木桶の需要が減ったことによ り、本職の木桶職人は引退していってしまいました。そこで私たちはご縁もあって、ワインの作り手として「ワインと木桶をつなげないだろうか」と木桶発酵に挑戦。全国 500 軒を超えてなお、新設の続くワイナリーが発酵容器として木桶を選択肢に入れるようになれば、木桶の需要を増やすことに力添えできるのでは無いか、と考えたのです。
●デラウェア×木桶
日本人が食卓のブドウとして長きにわたって親しんできたデラウェア。国内ではワイン用ブドウとしてのポテンシャルも 認められるようになってきました。一方で、農家の高齢化やシャインマスカットなどの大粒ブドウ人気に圧され、全国の栽培面積は20年前に比べると半分以下にまで減少しています。そんな中でも私たちはワイナリー設立当初からデラウェアを大切にし、毎年扱うのは自社管理畑、大阪の契約農家と山形置賜地区の2地域3パターンのぶどう。
かつてデラウェア生産量 1 位を誇った大阪と、現在首位独走中の山形、どちらも次の世代へとつなげていきたい産地です。未来に残したいデラウェアと木桶文化、この二つをつなげて個性ある美味しいワインを作れそうなことがわかってきたので、今ヴィンテージからは収穫期の異なる全パターンのデラウェアを順番に醸し、木桶をシーズン中に最大限活かすこ とにしました。
●3年目の木桶
木桶には酵母が住み着くといいます。そのせいか、発酵はかなりスムーズに開始し旺盛に進行しました。木桶で醸すと水分の蒸発が早いせいか、味わいは軽やかながらもマウスフィールには少し凝縮感が生まれ、ほのかに塩味を感じる味わいになりました。また、前の2ヴィンテージで感じられた杉の香りや生木のタンニンの影響はありませんが、どこか木を思わせる独特の香りのニュアンスがあります。デラウェアらしい輪郭は残しながらもラブルスカ香はかなり控えめで、酸の伸びと共に果皮・種子由来のタンニンが柔らかくジワッと広がるので、素材の味を活かした繊細なお料理に合わせやすい 優しいオレンジワインに仕上がっています。冷やしすぎると香り・味わい共に閉じてしまうため、15℃前後で飲んでいただくのがおすすめです。
詳細情報
8 月上旬に自社畑、8 月下旬に大阪の契約農家、9 月中旬に山形のデラウェアをそれぞれ木桶で自然に醸した後 (醸し期間はそれぞれ 12 日間・1 週間・1 週間)、バスケットプレスで搾り、それぞれ 200L のステンレスタンク で 7-8 ヶ月熟成。それら 3 つの木桶発酵ワインと、自社畑の青デラを自然発酵させた白ワインをブレンドしてボ トリング。最終的なブレンド比は、自社:大阪農家:山形:青デラ=1:1:1:1です。亜硫酸塩はステンレ スタンクへ澱引きしたタイミングで 20ppm、ボトリング直前に 10ppm 添加しています