フランス シュドウエスト
ブドウ品種:メルロー
23 年は雨が多くうどん粉病の被害を受け、残ったブドウは非常に凝縮しました。粘土石灰土壌で育ったメルローを除梗後、14 日間醸しプレス、グラスファイバータンクで発酵・熟成しました。ブラックガーネット色、フランボワーズやブラックベリー、リコリスの香り、 しっかりとしたアタックに目立った苦味、存在感のあるタンニンと果実味とのバランスが良いです。
Le Petit Clou des Vents / ル・プティ・クロ・デ・ヴォン
南西フランスの丘の上から ― 自然とともに生きる小さな造り手
ル・プティ・クロ・デ・ヴォンは、ボルドー東部・コート・ド・デュラスの丘陵地帯に位置する小さなドメーヌ。造り手のシルヴァン・ジュグラは1979年ラングドック生まれ。祖父の畑で自然に親しみながら育ち、21歳でピク・サン・ルーの名手クロ・マリーでナチュラルワインの世界に魅了されます。その後、南西地方での修行と醸造経験を経て、2011年に独立。「自分が本当に造りたいワインを、自分の手で」という想いのもと、栽培から醸造まで一人で手掛ける自然派生産者です。
畑は合計3 ha。地元の伝統品種メルローとソーヴィニヨン・ブランを中心に栽培しています。畑はいずれもビオロジック(有機)栽培。化学肥料・除草剤は一切使わず、自然のリズムに寄り添った畑仕事が行われています。
醸造スタイル
「ワインはブドウが語るもの」と語るシルヴァン。
収穫したブドウは区画ごとに分け、状態に合わせて醸造法を変えています。
白ワインは**房ごとマセラシオン(12日間)**後、プレスして熟成。
赤ワインは、若木のブドウはセミ・マセラシオン・カルボニックでフルーティに、
古木のブドウは除梗せず14か月古樽熟成で深みを表現。
いずれも醸造中のSO₂(酸化防止剤)は無添加、瓶詰め時にごく少量のみ使用。
自然酵母による発酵で、果実の旨みと滑らかな口当たりをそのまま引き出しています。
味わいの特徴
どのキュヴェにも共通するのは、角の取れた優しいアタックと熟度由来の自然な旨味。赤はジューシーで果実味豊か、白は爽やかさの中にミネラルの余韻が残ります。ボルドー的な重さではなく、「南西フランスの風が吹き抜けるような軽やかさ」が魅力。
造り手の言葉
「俺はオリジナルだからな!AOCや品種の枠に縛られず、自分の感覚を信じる。」
その言葉通り、2012年以降はAOCを離れ**Vin de France(ヴァン・ド・フランス)**として自由なワイン造りを貫いています。ドメーヌ名もAOC規制により“Clos(クロ)”から“Clou(クロ=釘)”へと改め、「自分のスタイルを貫く」という意志をそのまま名前に刻みました。